愛しの猫野郎

「選べ。貴様は秩序を貫くか。それとも愛嬌に屈するか」



それは終業時のこと。
立ちっ放し作業により疲労を仰山詰め込んだ重い足を
よっこらせ～よっこらせ～と引きずり駐輪場へ向う。
不安定な平衡感覚により来るその姿はまさにメトロノーム。
ヘロヘロなことを体言したかのようであり、
真に滑稽だがなんせヘロヘロなので仕方が無い。

そしてようやく駐輪場へ到着。
待たせたな俺のテスタロッサ（自転車）。さぁ帰ろう我が家へ。
とそのとき。背後より何やら気配が・・・ちょっと振り向いてみる。

猫がおった。４匹。
餌付けしたのは社員かそれとも係員か。なぜか駐輪場に居座っている

で、その猫が今。全部こっち向いてる。
が！全部が俺のことを見ているのではなく・・・
全部が俺の右腕に握られているやつを見ているのである。

食い物。低ＧＩ食品である。アップル味。
これが私的にゃ一番食べやすい。


猫「な～～～～お（よこせーーーー！）」×４
総動員で人様に対してカツアゲにかかる猫ども。

俺「あげるーーーーーー」
とついつい右手のものを譲渡してしまいそうになる俺。
そこで一つの記憶が過ぎる。
それは朝礼でのお偉いさんの話・・・

「くれぐれも猫に餌付けはしないように」

葛藤。疲労を余所に激しく葛藤する俺。
社会人としての秩序。それに対を成す猫愛。
俺の答えは・・・



その右手にあるものを、俺は差し出した。





己の胃袋に。




もふもふ。んまい。
やっぱ言われたことは守らないとね。
いくら可愛くたって言われたことは守らないとね。
そもそも人間の食品。猫や犬には基本あげてはなりませんとか。
犬はドッグフード食ってろ！猫はキャットフード食ってろ！
そんなわけで秩序を選んだ俺。
・・・しかし実際考えてみる。
俺は朝礼での話を守ろうとその選択をしたのか・・・？


まぁさ。生き物ってのは生きている以上ハラ減るのよ。
そう。猫であれ人であれ。まぁそういうこと。



一応言うが、俺は猫が嫌いなわけではない！
いてもいいんじゃねーかなー程度には思ってる！